藤倉水源地水道施設
- 建物・施設
藤倉水源地水道施設は、秋田市の水道史において重要な役割を果たしてきました。1903年に建設が始まり、1907年に一部給水を開始、1911年に全施設が完成しました。約70年間にわたり、秋田市民に清潔な水を供給し続けた貴重な施設です。
この施設は、ダムを備えた近代水道施設としては初期のもので、水道事業の歴史を知る上で非常に貴重とされます。1973年に取水を停止しましたが、1993年には国の重要文化財「近代化遺産」に指定され、再び注目を集めました。これは群馬県の碓氷峠鉄道施設とともに、近代化遺産としては初の重要文化財指定事例となりました。現在も、越流式重力式コンクリート造の本堰堤や副堰堤、放水路、沈殿池など、一連の水道施設が良好な状態で保存されています。自然豊かな環境に位置し、四季折々の風景と赤いトラス橋が美しい景観を作り出しています。
2007年には給水開始から100周年を迎え、2022年には秋田県の「未来に伝えたい秋田のインフラ50選」にも選出されました。秋田市の近代化を支えたこの施設は、今も歴史的価値を持ち続けています。ご興味のある方はぜひ一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。
(2025年2月執筆)
緑と赤のコントラストが映える光景です。
PHOTO:PIXTA