神奈川県立相模原青陵高等学校 閉校
- 文化・教育施設
二つの歴史を継承し誕生した「SORA」の学び舎
神奈川県立相模原青陵高等学校は、地域の教育を支えた二つの学校が統合して誕生しました。そのルーツは、住宅開発が進む中で昭和54年(1979)に開校した相武台高等学校と、豊かな自然に抱かれ昭和61年(1986)に産声を上げた新磯高等学校に遡ります。少子化という時代の波を受け、平成22年(2010)4月に旧相武台高校の校地にて新たな一歩を踏み出しました。「超え出ることの真理」という理念のもと、単位制を導入した全日制普通科として独自の教育を展開。「SORA」という愛称や校歌、キャラクターの「そらちゃん」に至るまで、生徒たちの瑞々しい感性が反映された学校作りが特徴でした。地域に根ざした両校の歴史を継承し、希望に満ちた開校を迎えました。
才能を育み、情熱が交差した表現の場
同校は数多くの才能を輩出した地としても知られています。プロボクシングで世界的な活躍を見せる井上尚弥選手は第1期生であり、在学中に高校7冠という金字塔を打ち立てました。また、ミュージカルやダンスなどの表現活動に注力した独自の授業は、生徒たちの個性を花開かせる土壌となりました。統合が決まった際、生徒会役員が放った「青陵を統合させたのは間違いだったと思わせたい」という魂の叫びは、学校への深い愛着を示す象徴的なエピソードとして、今も関係者の胸に刻まれています。
10年の疾走と相模原弥栄高等学校への継承
平成27年(2015)12月、弥栄高校との統合案が公表され、学校は大きな転換期を迎えました。令和2年(2020)3月31日、惜しまれつつも開校から10年という短くも濃密な歴史に幕を下ろしました。2,300人以上の卒業生を送り出した学び舎の精神は、翌4月から新たにスタートした相模原弥栄高等学校へと引き継がれています。現在、思い出の詰まった新磯野の校地は民間売却の方針が示されており、長年親しまれてきた風景は、新しい街の姿へ向けて移り変わろうとしています。
記憶の中で輝き続ける青春の軌跡
わずか10年という歳月ではありましたが、相模原青陵高等学校がこの地に刻んだ足跡は決して消えることはありません。夢を追いかけた生徒たちや、彼らと共に歩んだ教職員、そして温かく見守り続けた地域の方々の想いは、卒業生一人ひとりの心の中で生き続けていくことでしょう。かつてのキャンパスに響き渡った活気ある歌声や躍動する足音が、これからも美しい記憶として、関わったすべての人々の未来を照らし続けることが願われます。
(2026年5月執筆)
VIDEO : kyoshisugita 様







