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小田原文学館

  • 文化・教育施設

小田原城の南、かつて武家屋敷が連なっていた西海子小路。緑陰深いこの地は、近代に入ると温暖な気候を愛した政財界人たちの別荘地へと変貌を遂げました。その歴史的景観を今に伝える白眉といえる施設が、小田原文学館です。

敷地内には、時代の異なる二つの名建築が並び立ちます。一つは、大正13年(1924)に建てられた数寄屋風の意匠を持つ木造の別館。そしてもう一つは、昭和12年(1937)に竣工したスパニッシュ様式の本館です。これらは、幕末に坂本龍馬らと活動し、維新後は宮内大臣を務めた田中光顕の別邸として造営されました。特に本館は、建築家・曾禰達蔵の最晩年の作であり、南欧風の瓦屋根やサンルームなど、昭和初期モダニズム建築の精華を伝えています。

平成6年(1994)、小田原市はこの貴重な遺構を、北原白秋や尾崎一雄ら当地ゆかりの文豪を顕彰する文学館として開館させました。その建築的価値は高く評価され、平成12年(2000)には本館・別館ともに国の登録有形文化財に登録されています。また、敷地内には尾崎一雄邸の書斎も移築されており、往時の文人の息遣いを感じることができます。時代の荒波を越え、これらの文化遺産を美しく保全し、次世代へと継承し続ける小田原市および運営関係者の皆様のたゆまぬご尽力に、深く敬意が表されます。建築美と文学の調和するこの歴史的空間へ、歴史ファンの皆様もぜひ訪れてみてください。

(2026年2月執筆)

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