豊稔池堰堤
- 建物・施設
阿讃山脈を分け入る柞田川上流に位置する豊稔池堰堤。
建設以前、大野原地域は「大野原は月夜にも焼ける」と言われるほどの乾燥地域でした。大正時代には二度の大干ばつが発生し、地域のため池が強く要請されたという時代的背景があります。そして豊稔池築造計画が具体的に立案され、工学博士の佐野藤次郎氏の指導のもと1926年に工事着工。受益地元農家の協力を得ながら約3年8カ月の工期を経て、無事故で完成しました。
両端部を重力式、中央部が5個のアーチと6個の扶壁から構成されるマルチプルアーチ式コンクリート造の豊稔池堰堤は現在でも約500haの農地の水がめとして活躍します。その歴史的価値は高く評価されており、重要文化財に指定されています。
ご興味のある方は一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。威厳と風格が漂うその姿からは当地の大いなる歴史ロマンを感じ取ることができることでしょう。
(2020年11月執筆)
中世ヨーロッパの古城のような外観とその地域を思う先人達の史実は今なお多くの人を魅了します。
PHOTO:写真AC