旧第一勧業銀行松本支店
- 建物・施設
長野県松本市に佇む旧第一勧業銀行松本支店は、1937年に誕生しました。当時は日本勧業銀行松本支店として、清水組(現清水建設)の施工により建てられました。鉄筋コンクリート造3階建ての本建物は、地下室と塔屋も備えています。特筆すべきは、正面7連、両側面と背面各3連の独特な曲線アーチの開口部です。この特徴的なデザインが、建物に優雅さと風格を与えています。
銀行としての歩みは、日本勧業銀行から始まり、1971年の合併で第一勧業銀行へ、さらに2002年にはみずほ銀行となりました。2003年まで松本支店として機能し続けました。閉鎖後は存続が危ぶまれましたが、現在は民間のレストラン・ブライダル施設として生まれ変わり、往時の姿を留めつつ新たな役割を果たしています。
2007年には国の登録有形文化財に指定され、2017年には、松本市近代遺産に登録されました。松本の近代化を物語る貴重な建築物として公に認められる建物です。松本城の南側、大名町通りに位置するこの建物は、今も商業都市松本の歴史を雄弁に語り続けています。歴史的建築と現代的活用の見事な調和を、ぜひ足を運んで体感してみてはいかがでしょうか。
(2025年2月執筆)
PHOTO:PIXTA