室蘭市立天沢小学校 閉校
- 文化・教育施設
一世紀の記憶を紡ぐ、坂の上の学び舎――室蘭市立天沢小学校の軌跡
大正から令和へと激動の時代を歩み続けた室蘭市立天沢小学校は、その長い歴史の中で地域の子どもたちを温かく育んできました。しかし、時代の変化とともに少子化が進み、令和3年(2021年)3月31日をもってその輝かしい歴史に幕を下ろし、地球岬小学校へと統合されることになりました。
2,000人を超えた、活気あふれるマンモス校の記憶
戦後の復興と室蘭の工業都市としての発展は、子どもたちの数にも劇的な変化をもたらしました。昭和33年(1958年)、室蘭市内の小学生は約2万3000人という過去最高のピークに達します。その中心にいたのが、児童数2000人以上を擁し、市内トップの規模を誇った天沢小学校でした。あまりの児童数の多さに、校舎の増築を重ねても教室が足りず、午前と午後に分かれて授業を行う「2部授業」が実施されたことも、今では天沢小学校の活気あふれる黄金期を物語る懐かしい思い出です。
103年目の別れと、引き継がれる未来
時が流れ、令和の時代を迎えると、かつての喧騒は静かなものへと変わっていきました。閉校を迎える最後の年の全校児童数は76人。令和3年(2021年)2月6日、同校の体育館で開かれた閉校式典では、校長と児童会会長から青山市長へと校旗が静かに返納され、集まった人々は涙ながらに慣れ親しんだ学び舎との別れを惜しみました。そして同年3月19日、最後の卒業式が挙行され、13人の卒業生たちが村田校長から最後の卒業証書を受け取り、それぞれの未来へと羽ばたいていきました。天沢小学校の教育の灯は、平成19年(2007年)に旧母恋小学校と旧朝陽小学校が統合して誕生した地球岬小学校へと、確かに引き継がれたのです。
福祉と幼児教育の拠点として、今も地域を支える場所
天沢小学校としての役割を終えた跡地は、建物の解体を経て、新たな地域共生の場へと生まれ変わりました。室蘭市は跡地の一部を学校法人おおぞら学園に売却し、同法人が運営する「室蘭幼稚園」がこの地へ移転開園しました。さらに、かつての子どもたちの笑顔あふれる敷地には、市内の「小多機癒庵」と「癒庵」の2つの高齢者介護事業所が統合され、新たな地域福祉の拠点として移転を果たしています。かつて2000人もの子どもたちの歌声が響いた坂の上の高台は、形を変えた今もなお、小さな子どもたちと高齢者を見守り、地域の温かい暮らしを支え続ける特別な場所として生き続けています。
(2026年8月執筆)







