【宗谷本線】瑞穂駅 廃駅か
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地域住民の手で築かれた仮乗降場からの歩み
北海道士別市多寄町31線に位置するJR宗谷本線の瑞穂駅は、1956年(昭和31年)9月1日に「瑞穂仮乗降場」として開設されました。旭川起点64.5kmの地点に設けられた同駅は、開設当初から貨物や荷物の扱いは行わず、旅客専用として運用が開始された経緯を持ちます。設置に際しては、当時の国鉄から支給された資材を用いて地域住民が自らの手でホームを組み立てました。1978年(昭和53年)6月には地元有志の手で待合所および自転車置場が新築され、1987年(昭和62年)4月1日の国鉄分割民営化に伴い正式な駅へ昇格しています。民営化時にはJR北海道と地元自治会長の間で土地使用貸借契約が締結され、1990年(平成2年)3月10日には正式な営業キロが設定されました。無人駅でありながら住民組織の手厚い管理とともに歴史を紡いできた駅です。
単式木造ホームと地域が管理する駅空間
瑞穂駅は、稚内方面に向かって左側に1面1線の単式ホームが配置された地上駅です。木造で組まれたホームは車両1両分程度の小規模な構造にとどまり、旭川寄りの端部に設けられたスロープを介して駅外へと連絡しています。待合所や自転車置場はホーム本体からわずかに離れた場所に独立して設置されており、その動線周辺には多寄東自治会(旧瑞穂自治会)によって維持されてきた花壇が配置されています。駅周辺は広大な農地が広がる環境にあり、少し北側には名寄市との市境界が位置し、東側には酪農集落が形成されています。近隣には国道40号やタヨロマ川が通り、道北バスの停留所も設けられているものの、駅構内は手作りの素朴な佇まいを色濃く残しており、過疎化が進む道北の鉄路において静かな風情を保つ施設として知られています。
通学需要の喪失と極端な利用低迷
同駅の停車本数は上下各4本の計8本で、一部の普通列車は通過する形態がとられてきました。乗降人員の推移を見ると、1992年(平成4年)に1日あたりの乗降客数ゼロが記録されるなど、従前より厳しい利用状況にありました。近年の特定日調査でも平均乗車人員は2人から3人前後の水準にとどまり、2020年度(令和2年度)から2022年度(令和4年度)も「3名以下」に分類されています。士別市の公表資料によると、近年は地元の高校生1名が通学用として当駅を利用していましたが、2025年(令和7年)3月に卒業を迎えたことで定期利用者が皆無となりました。同年に行われた現地調査でも確認された利用者が愛好家1名のみとなるなど、地域の日常的な生活交通としての実態は事実上失われつつありました。
営業終了の受容と宗谷本線の将来
こうした利用実態を踏まえ、JR北海道は2026年(令和8年)3月9日付で、士別市に対し2027年(令和9年)春のダイヤ改正に合わせた営業終了を打診しました。これを受け士別市は、多寄地区住民を対象に広報誌等を通じて意見募集を実施しました。寄せられた意見の中には、駅舎やホームを住民交流の場として再活用する構想や、駅グッズを製作して関係人口を呼び込む提案のほか、宗谷本線全体の存続に向けた行政の働きかけを求める声が含まれていました。市はこれらの活用策を検討したものの、維持管理や費用負担の観点から実施を見送り、総合的な判断として営業終了の受け入れを決定しました。70年にわたり住民に守られた小駅の歩みは幕を下ろすこととなりますが、市は今後も広域協議会等を通じて国や運行事業者への働きかけを続け、幹線鉄路の維持に努める方針です。
(2026年11月執筆)

広大な田園の中に佇む、住民手作りの素朴な待合所です。

車両1両分の短い木造ホームへ、列車が停車します。貴重な景色となりそうです。
PHOTO:写真AC







