Final 2026年9月30日 記事足摺海底館 閉館のイメージ画像 History 54年

足摺海底館 閉館

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黒潮に挑んだ展望塔 ― 足摺海底館、建設の記録

1970年(昭和45年)12月、川崎重工株式会社に設計と建設が発注され、翌1971年(昭和46年)4月、土佐清水の竜串海岸西側で基礎工事が着工されました。同年11月、兵庫県加古川市の工場で完成した展望塔本体が海上輸送され、1972年(昭和47年)1月1日、「足摺海底館」が開館します。開館当初は「下駄ばきのままで海中散歩」というコンセプトが打ち出され、開館二日間で1万人の来館者が訪れました。開館初年度の入館者数は36万人にのぼり、開館から3年で累計入館者数が100万人を突破しています。


皇室も訪れた、昭和の海中展望室

1976年(昭和51年)7月には皇太子殿下ご夫妻が来館し、1978年(昭和53年)5月には昭和天皇が視察に訪れました。1988年(昭和63年)7月には礼宮殿下(現・秋篠宮殿下)が来館しています。建物は円筒形のタワー部分と展望室をH型鋼で溶接一体化した鋼構造で、高さ24メートル、建築面積119平方メートル、海岸と入口を結ぶ連絡橋を備えています。所在する竜串海域は、豊かなサンゴや魚が生息する海域公園として知られています。


災害を乗り越え、文化財の登録へ

2001年(平成13年)10月、高知県西南部を襲った豪雨により竜串湾に大量の泥が流入し、海中が見えなくなるほどの被害を受けました。2004年(平成16年)9月には台風16号により遊歩道や連絡橋階段が破損しましたが、約1か月の修復を経て同年10月に営業を再開しています。累計入館者数は2011年(平成23年)12月に600万人、2021年(令和3年)3月には639万人に達しました。2022年(令和4年)10月31日、足摺海底館は国の登録有形文化財(建造物)に登録されています。


連絡橋の老朽化と、営業終了への決断

2026年(令和8年)5月、安全点検により連絡橋の経年劣化が確認されたため、一時休館の措置が取られました。休館前年度にあたる2025年度(令和7年度)の年間入館者数は約3万3,000人でした。運営する高知県観光開発公社は、本体の改修と連絡橋の架け替えに約5億円の費用が必要となることから対応を協議し、2026年8月31日の取締役会で、資金調達および投資回収の困難さを理由に再開を断念、9月30日をもって営業を終了する方針を決定しました。危険性の高い連絡橋は撤去される一方、本体は当面残される見通しで、同社は9月18日に臨時株主総会を開き、営業終了を正式に決定する見通しです。

(2026年9月執筆)

 

竜串の海に浮かぶ足摺海底館。奇岩を渡る連絡橋の先に、静かにその姿を残している。

 

連絡橋の撤去が進めば、この姿を間近で見られる機会は限られてきそうです。ぜひ一度現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。

PHOTO:写真AC

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