飯能市立南川小学校 閉校
- 文化・教育施設
飯能市立南川小学校(埼玉県飯能市南川154)がその歴史に幕を下ろしたのは、1993年(平成5年)3月末のことでした。当校の創立は1874年(明治7年)にまでさかのぼります。約120年という長い年月にわたって地域の子供たちを支えてきた学び舎でした。
当校が築かれた飯能市の吾野地区は、清流・高麗川が流れ緑豊かな森が広がるエリアです。秩父の山々の貫く国道299線から、道路沿いに佇む木造校舎の2階部分を見ることができます。国道を降りて集落の中を進むとかつての正門へ続く石畳の坂道があります。
敷地に内には二つの校舎が残されています。斜面上にある木造2階建ての校舎は昭和12年に建てられたもの。板張りの外壁、トタン瓦の屋根の建物に桟の入った窓が並ぶレトロ建築です。漆喰造りの西洋風な玄関と相まって、モダンで柔らかな雰囲気が感じられます。
校庭の脇に立つ平屋の木造建築は明示37年竣工の初代校舎で、板張りの壁に寺社建築風の玄関を合わせた珍しい造りとのことです。こちらの建物は、現在も地域の人々の集会や催し物の場として大切に手入れされており、2月・3月のイベント時には雛飾りの展示で華やいだ屋内を見学することができるそうです。歪んで見える窓ガラスや廊下や柱の木材の使いこまれた風合いなど、学び舎が紡いできた歴史を味わうことができるでしょう。
興味を持たれた方は一度この地を訪れてみてはいかがでしょうか。校庭の桜の古木が満開となる時期は趣もひとしおです。桜と木造校舎、生命力あふれる新緑のコントラストが映える素敵な風景がたのしめそうです。
(2022年1月執筆)
かつて在籍生徒が毎日見つめていた景色です。
長年に渡り地域の子供達の登下校を見守り続けました。
この場所に元気な子供達の歓声が再び響き渡る光景を期待したいものです。
PHOTO:PIXTA
当校の趣ある木造校舎はロケ地としても人気で、ドラマ「かすてぃら」(2013年、NHKBS)、ドラマ「着飾る恋には理由があって」(2021年、TBS)、ドラマ「新・警視庁捜査一課9係season3」(2011年、朝日)、などの作品に登場しています。
永久保存版としてお手元に確保されてはいかがでしょうか?