旦過市場 建屋 取壊/再開発
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「北九州の台所」として親しまれている旦過(たんが)市場( 福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-18)の建屋が長きに渡る歴史の幕を下ろします。
1913年頃、神嶽川を上る船が荷揚げをして商売を始めたことをきっかけにして、自然発生的に形成されたという旦過市場。戦時中の空白期間を経て、その後、生鮮品を扱う市場として商人が集まりその存在感を高めてゆきます。当初の闇市のような位置づけから、組合なども整備されその後の隆盛の土台となります。現在も残る長屋式の建屋が構えられ、戦前から現在に至るまで地域の経済環境の変化の荒波を受けながらも、地域の台所として住人に愛され続けた商店街です。
特筆すべきはその名称。禅宗の菩提寺である宗玄寺というお寺に由来する「旦過市場」の名前は現在に至るまで大切に引き継がれてきました。
「この市場は北九州小倉の歴史そのものです。地域住民にとっても誇りともいえる場所なのです。まるで戦後の闇市に飛び込んだかのような雰囲気に身をおいて、元気で優しい店員さんから鮮魚・総菜・青果等を購入する。昭和のお買い物がここにありますよ。きっと若い人にとっては目新しくて新鮮な経験だと思うのです。いよいよ再開発です。正直この雰囲気はもう出せないと思います。だって戦争前後からの歴史ばっかりは新しい建物には引きつげないですから。でもこの商店街を営む顔ぶれは基本的にはそのまま。彼らの心にはしっかりとひきつがれているはずです。新しい時代を迎えますが、今日まで当地の歴史を引き継いでくれた先人に心より感謝申し上げます。」地域に住む男性の言葉です。
(2022年4月執筆)
昭和タイムスリップツアーへの入り口です。
戦後から現在にいたるまで引き継がれた光景です。
多くの人の大切な思い出を詰め込んでその歴史の幕を下ろします。
PHOTO:PIXTA
VIDEO : Final Access ファイナルアクセス