東栄町立中設楽小学校 閉校
- 文化・教育施設
創立から統合へ・・・131年にわたる歴史と歩み
1875年(明治8年)6月1日、愛知県北設楽郡の中設楽村にて創立された東栄町立中設楽小学校は、明治から平成に至る4つの時代を通して、山あいの集落における教育とコミュニティの中心であり続けました。1882年(明治15年)当時に町域に存在した12の小学校の1つとして歩みを始め、地域の発展とともに子供たちの成長を見守ってきました。しかし、過疎化と少子化の波が押し寄せるなか、2006年(平成18年)3月31日をもって131年の輝かしい歴史に幕を閉じ、翌日より新設の東栄小学校へとその伝統が引き継がれたのです。
木造校舎のぬくもりと「天地人教育」によるふるさとへの誇り
山間の緑に包まれた高台に立つ校舎は、木のぬくもりがあふれる1階建ての木造建築でした。木造の講堂が併設された敷地内には長い木造廊下が伸び、児童たちが一斉に雑巾がけをして駆け回る歓声が日々響き渡っていました。1975年(昭和50年)頃からは、町全体で推進された「天地人教育」のもと、郷土の豊かな自然や歴史、文化に学ぶふるさと教育を展開しました。国の重要無形民俗文化財である「花祭り(中設楽花祭り)」の伝統が息づく風土のなかで、子供たちは地域への誇りと愛着を深めながら温かな学校生活を過ごしました。
閉校後の講堂保存と地域に護られた「二宮金次郎像」「乃木希典大将像」
2006年(平成18年)4月の統合に伴う閉校後、翌年夏には校舎本体が解体されましたが、木造講堂は補強のうえ地域の活動拠点として残されました。そして旧校舎正面脇にあった高さ約90cmの「二宮金次郎像」と、1940年(昭和15年)に地元有志により建立された高さ約135cmの全国的にも極めて珍しい公立小学校敷地内の「乃木希典大将像」は、破砕されることなく敷地奥の林の中へと大切に移設・保存されました。地域の歴史や貴重な戦争遺跡(乃木大将像)を今に伝えるこの二像は、住民の温かい想いによって護られたのです。
「ふれあい広場」への再生と未来へ咲き続ける中設楽の誇り
校舎撤去後の広大なグラウンドは、地域住民の憩いと交流の場である「ふれあい広場」や交流施設「ふれあい亭」として生まれ変わりました。広場の南側には桜が植樹され、毎年4月になると見事な満開の桜が咲き誇る名所となっています。春の陽気のもと、桜の木の下には大切に並べられた二宮金次郎像と乃木希典大将像が佇み、まるで二人で穏やかに花見を楽しんでいるかのような情景をつくり出しています。校舎の形は変わっても、131年の歴史と中設楽の誇りは、満開の桜とともに地域の心に未来へ向けて咲き続けています。
(2026年9月執筆)

日の光が差し込む静かな木造校舎の教室です。

緑豊かな校庭の一角に佇む懐かしい木造のバードハウスです。
PHOTO:廃校5000







