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犀川大橋

  • 建物・施設

金沢市の中心部を流れ、時に荒々しい表情を見せることから「男川」とも呼ばれる犀川。この川に架かる犀川大橋は、400年以上にわたり街の発展を見守り続けてきた、まさに金沢の歴史の証人です。その起源は1594年、加賀藩祖・前田利家が架けた木造橋にまで遡ります。藩政時代、この橋は城下町への玄関口として、また犀川に架かる唯一の大橋として、物流と人々の往来を支える心臓部の役割を担っていました。

時代は移り、近代化が進む大正期。市電敷設のため、1919年には鉄筋コンクリート製の頑丈な永久橋へと生まれ変わりました。しかし、そのわずか3年後の1922年、記録的な豪雨による大洪水が橋を襲い、無念にも崩壊してしまいます。現在の力強い鋼鉄製の橋は、この悲劇を乗り越え1924年に完成したものです。設計は日本橋梁技術の先駆者、関場茂樹が手掛けました。建設途中に関東大震災が発生し、国内の鋼材が不足したため、一部に英国製の鋼材が使われたという事実は、この橋が時代の試練の中で誕生したことを物語っています。

平成に入り、1994年には大規模な改修工事が行われました。加賀友禅のぼかし染めを思わせる青系統の優美な塗装や、茶屋街の紅柄格子をイメージした高欄、ガス灯風の照明などが施され、歴史的な風格と現代的な感性が調和した姿になりました。こうした歴史的・文化的価値が公に認められ、2000年には国の登録有形文化財に登録されました。

幾多の災害や時代の変化を乗り越え、今なお市民の暮らしを支え、美しい景観を創り出している橋の姿には、長年にわたりその維持管理に尽力されてきた方々に深く敬意が表されます。
この橋に特別な思い出を持つ方も、そうでない方も、ぜひ一度この地を訪れ、100年の時を越えて街を見守る橋の上を歩いてみてはいかがでしょうか。

(2025年9月執筆)

 

 

当地を代表する景色の一つです。

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