音戸渡船 定期航路廃止
- 乗り物
広島県呉市の音戸渡船が、2021年1月末で、定期航路としては廃止されました。
音戸渡船は呉市の広島県呉市の警固屋地区と、対岸にある倉橋島の音戸町を結ぶ渡し船で、その歴史は江戸時代に遡るとされています。1961年に音戸大橋が開通するまでは、地元の人たちにとって欠かせない交通手段であり、朝の時間帯は通勤・通学の人たちで船が満員になるほどだったそうです。その後、2013年には渡船航路を挟んで北側にも第二音戸大橋がかかるなど、年々、渡船の利用客数は減少。建造70年を超える船体の故障による運休もあり、多くの人に惜しまれながら定期航路の廃止を決断するに至ったのだそうです。
乗船時間は約3分、距離にして100mほどの渡船は、「日本一短い定期航路」として知られてますが、その船が渡る海峡は潮の流れが速く、行きかう船舶も多い海の難所でもあります。操船技術を持つ船頭の後継者がいなかったことも事業継続を困難にした理由の一つとのことです。
地元の乗客が減った一方で、音戸渡船は、ここにしかない美しさと懐かしさを味わえる景色が話題となり、地域外から多くのサイクリストや外国人を含む観光客を惹きつけてきました。2020年には廃業の危機にクラウドファンディングで目標額を超える応援資金が集まるなど、今でも多くの人たちに愛され続けています。
音戸渡船は今後、観光ツアーなどと絡めた随時運航での利用が模索されるようです。渡船が結ぶ音戸町では古い町並みを生かしたまちづくりも進んでいます。興味を持たれた方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。船には乗れませんが、レトロ感あふれる船着き場の待合室と瀬戸の美しい景色が優しく迎えてくれることでしょう。
(2021年12月執筆)
300余年にわたる歴史は色あせることなく人々に記憶されることでしょう。
PHOTO:PIXTA
映画「風の電話」。音戸渡船の美しい映像を楽しめます。
永久保存版としてお手元に確保されてはいかがでしょうか?