海軍棒プール
- 建物・施設
沖縄県南大東島は、周囲を断崖絶壁に囲まれた隆起サンゴ礁の島であり、砂浜のビーチが存在しない特異な地理的条件を持っています 。この島で、太平洋の雄大な自然と人々を繋ぐ貴重な場所が「海軍棒プール」です。
このユニークな名称の起源は、明治時代に遡ります。1892年、当時まだ無人島だったこの地を大日本帝国海軍の軍艦「海門」が調査に訪れました 。その際、測量の基準点として島の東岸に一本の標木を建てたのです 。後に開拓のため人々が移り住んだ際、この海軍が建てた棒は地域の目印となり、「海軍棒」という地名が定着しました。現在の棒は、当時のものを復元したものです 。 1900年に八丈島からの開拓団によって島の歴史が始まって以来、島民、特に子供たちが安全に海と親しめる場所はありませんでした 。この長年の課題を解決するため、島の人々の手によって海辺の岩礁を削り、人工の海水プールが造られました 。これが現在の海軍棒プールです。
このプールは、満潮時には太平洋の荒波と共に新鮮な海水が流れ込み、熱帯魚や海の生き物たちも運ばれてくるため、まるで自然の水族館のような様相を呈します 。島民にとってはかけがえのない憩いの場であり、訪れる観光客にとっても、大東島の厳しい自然と人々の営みが融合した象徴的な景観として愛されています。その歴史的背景と地域にとっての重要性は、単なる遊泳施設以上の価値を物語っています。
この貴重な場所を維持管理する関係者の皆様には、深く敬意が表されます。島の歴史と自然が織りなすこの場所は、歴史を愛し、その場所ならではの思い出を求める多くのファンにとって訪れるべき特別な地と言えるでしょう。
(2025年10月改筆)

きわめて美しいプールですが、水深が深い箇所もあり、波が高いときは遊泳禁止とのことです。現地では安全に最新の注意を払ってください。
PHOTO:写真AC







