チキウ岬灯台
- 建物・施設
鉄のまちの夜明けを照らした白亜の航路標識
大正9年(1920)4月1日の初点灯以来、チキウ岬灯台は室蘭港を行き交う数多くの船舶を安全へと導き続けてきました。明治5年(1872)に開港した室蘭港は、その後に製鉄や石炭の積出港として急速に発展を遂げ、この白亜の塔が放つ力強い光は、産業を支える人々の暮らしと共生してきました。アイヌ語の断崖を意味する言葉に由来する地球岬の険しい絶壁に立つ灯台は、地上からの高さが15メートルあり、付属舎の屋根や踊り場などを除き無筋コンクリート造であるという大正期の建築様式を今に伝えています。海面から131メートルの高さから放たれる光は、北海道内で最長(全国第3位)の光達距離を誇り、夜の海を守る絶対的な存在として君臨し続けていたのです。
灯台守の誇りと海を愛した人々の記憶
かつてこの地では灯台守が家族と生活を共にし、厳しい自然の中で明かりを守っていました。ここで少年時代を過ごした元職員様は、船乗りからかけられた感謝の言葉を胸に、灯台守の仕事を「サービス業」と捉えて強い使命感で臨んだといいます。活気あふれる製鉄のまちの発展や、連絡船が紡ぐ旅人たちの出会いと別れなど、灯台は室蘭の温かい人間模様を静かに見守り続けてきました。
時代の波を越えて観光のシンボルへ
技術の進歩により平成3年(1991)に無人化された灯台ですが、その歴史的価値は高く評価され、平成17年(2005)には選奨土木遺産に認定されました。点灯100周年を迎えた令和2年(2020)10月30日から11月4日にかけては万国旗が掲げられ、華やかに節目を祝っています。現在は年間30数万人が訪れる観光名所となり、令和4年(2022)度には宿泊体験ツアーが企画されるなど、新たな役割を担い始めています。
未来へ語り継ぐ白亜の塔への敬意
過酷な環境の中で一筋の光を守り抜いた先人たちの情熱と、美しきチキウ岬灯台の姿は、私たちの心に深く刻まれています。時代が移り変わり、灯台を取り巻く環境が変化したとしても、室蘭の発展を支えたこの白亜の美しき建造物が、地域の誇りとして永く愛され続けることが願われます。雄大な大自然と調和するその孤高の輝きは、これからも訪れる人々の未来を明るく照らし続けることでしょう。
(2026年5月執筆)

長きに渡り船の安全を確保する守護神として活躍しています。
PHOTO:PIXTA
人気ドラマ「相棒 season18」。当地もロケ地になっているそうです。
永久保存版としてお手元に確保されてはいかがでしょうか?







