十綱橋
- 建物・施設
十綱橋は、福島県福島市の飯坂温泉街を貫く摺上川に架かる橋です。全長51.7m、幅員6.8mの橋で、現存する大正期の鋼アーチ橋で最も古いものの1つです。その大きな特徴は、山形鋼を組合せたブレースドリブアーチと垂直材からなる美しい外観です。大正期を代表する橋として、2004年に土木学会選奨土木遺産に認定され、2022年には国登録有形文化財に登録されました。
その歴史は古く平安時代にまでさかのぼります。橋の両岸を十条の藤の綱で結び、板を渡してその上を歩行していたことから「十綱橋」呼ばれたとの説もあります。実際に千載和歌集には、この橋を「陸奥の十綱の橋にくる網の絶へつも人にいひ渡るかな」と詠んだ藤原親隆の歌が記されます。
明治時代に木造の吊橋が設置されましたが、木製の塔が破損したため、1915年に現在の橋に架け替えられました。以降、飯坂温泉街のランドマークとして親しまれており、観光客や地元の人々が行き交う橋となっています。ご興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。飯坂温泉の歴史ロマン溢れる橋がきっとあなたを暖かく迎え入れてくれることでしょう。
(2024年1月執筆)
PHOTO:写真AC