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【美祢線】長門湯本駅 鉄道駅として廃駅

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1924年、美祢線の全線開通とともに、長門湯本駅はその歴史の第一歩を踏み出しました 。約600年の歴史を誇る名湯、長門湯本温泉への玄関口として開業した駅は、瞬く間に多くの観光客で賑わう地域の中心地となります 。最盛期には急行「あきよし」なども停車し、温泉街へ向かう人々の期待と活気を一身に受け止める、華やかな時代を過ごしました 。

しかし、時代の移り変わりとともに駅の役割は変化していきます。1986年には無人駅となり、かつての賑わいは少しずつ落ち着きを見せるようになりました 。その一方で、温泉街は2020年の「星野リゾート 界 長門」の開業を機に官民一体の再開発が進み、新たな魅力で輝きを取り戻します 。再生する温泉街と、静かになった駅。両者の道のりは、少しずつ異なっていきました。

決定的な転機は、2023年6月の記録的な豪雨でした 。厚狭川の氾濫により鉄橋が流されるなど、路線は壊滅的な被害を受け、運行休止を余儀なくされます 。莫大な復旧費用と利用者の減少という現実を前に、2025年、沿線自治体は鉄道での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)への転換で合意しました 。これにより、駅の100年にわたる鉄道の歴史は、事実上の幕を閉じることになりました。

一世紀もの間、幾多の困難を乗り越えながら地域の足を守り続けてくださった運営事業者の方々の尽力に、心からの敬意を表します。列車が来なくなった今も、大正時代から残る駅舎は、この地に刻まれた歴史を静かに語りかけているようです。温泉旅行への期待を胸にホームに降り立った日のこと、車窓から眺めた渓谷の景色。この駅は、多くの人々の思い出の中で、これからも走り続けることでしょう。

(2025年8月執筆)

PHOTO:PIXTA

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