【美祢線】於福駅 鉄道駅として廃駅
- 乗り物
- 建物・施設
山口県のJR美祢線に位置する於福駅が、1920年の開業から100年以上にわたる鉄道駅としての歴史を終えることになりました。2023年の豪雨災害による長期運休を経て、鉄路の廃止とバス高速輸送システム(BRT)への転換が決定されたためです。
於福駅は1920年、美祢軽便鉄道の終着駅として開業しました。1924年には路線が長門市方面へ延伸され、山陽と山陰を結ぶ美祢線の途中駅として、地域の交通を支えてきました。しかし、沿線人口の減少などの影響を受け、1985年には無人駅となります。近年では、駅の新たな価値を創出する動きもありました。2013年には、美祢市によって駅舎が「於福地域交流ステーション」として改修され、写真展や季節のイベントが開かれるなど、地域住民にとって大切な交流の拠点として親しまれていました。
しかし、2023年6月の豪雨災害で美祢線が甚大な被害を受け、状況は一変します。復旧の協議が重ねられましたが、莫大な費用と期間を要することから鉄道での復旧は断念され、2025年8月、BRTでの復旧方針が正式に合意されました。これにより、於福駅は鉄道駅としての役目を終えることになります。
一世紀以上にわたり、地域の足として、また交流の場として存在し続けた於福駅。その運営と維持に尽力されたすべての関係者の皆様に、深く敬意を表します。駅舎に集った人々の笑顔や、ホームを往来した列車の姿は、地域の方々の心に大切な思い出として刻まれ続けることでしょう。
(2025年8月執筆)
PHOTO:PIXTA