【美祢線】重安駅 鉄道駅として廃駅
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1916年、美祢軽便鉄道の終着駅として長門重安駅は開業しました。地域の産業を支えるという使命を帯びて敷かれたレールは、わずか4年後の1920年に国有化され、国の発展を担う重要な路線の一部となります。戦後の復興期から高度経済成長期にかけては、駅に隣接する鉱山から産出される石灰石の積出拠点として、まさしく日本の産業の心臓部として機能しました。「ドル箱列車」と呼ばれた貨物列車が昼夜を分かたず行き交い、その活気は地域経済の礎となっていました。
しかし、産業構造の変化と共に貨物輸送は2009年にその役目を終え、駅は静かなローカル駅へと姿を変えました。沿線の人口減少とモータリゼーションの波の中で利用者は減少し、2023年の豪雨災害がその歴史に決定的な終止符を打ちます。甚大な被害からの復旧は鉄道では断念され、BRTへの転換が決定。これにより、駅は1世紀以上にわたる鉄道駅としての役割を終えることになりました。
運営主のJR西日本様、線路を守り続けた保線作業員たち、そして日々の暮らしの中で駅を利用した全ての人々の営みに、深く敬意を表します。ホームに立てば、もう列車は来なくとも、石灰石を積んだ貨車の重々しい響きや、通学の学生たちの賑やかな声が、今も聞こえてくるようです。長門重安駅は、地域が歩んだ一世紀の記憶そのものとして、人々の心に寄り添うことでしょう。
(2025年6月執筆)
PHOTO:写真AC