【神戸電鉄】菊水山駅 廃駅
- 乗り物
- 建物・施設
神戸電鉄菊水山駅は、1940年に神戸有馬電気鉄道の駅として開業しました 。菊水山の急峻な山腹を切り開いた場所に位置し、開業当初から駅周辺に民家はほとんどなく、下水処理場の職員やハイカーが主な利用者でした 。山名の「菊水山」は、楠木正成公600年祭を記念して、菊水の家紋の形に松が植えられたことに由来します 。
簡素な地上駅には駅舎がなく、簡素な待合所があるだけの無人駅でした 。駅へのアクセスも車が入れないため、利用者は限られていました 。時代が進み、下水処理場の業務が省人化されると、利用客はさらに減少 。2004年には一日の乗降客数がわずか18人まで落ち込み 、多くの列車が通過する「普通電車も止まらない駅」として、鉄道ファンの間で「秘境駅」として知られるようになりました 。
利用客の減少という流れを受け、2005年3月26日に営業を休止 。その後、駅施設撤去の費用捻出が困難であったため、正式な廃止は長期間見送られました 。そして、13年間の休止期間を経て、営業再開の見込みがないと判断されたことから、2018年3月23日に正式に廃止されました。
菊水山駅は、公的な文化財ではありません。しかし、神戸電鉄がこの難所を切り開き、長年にわたり維持管理してきた歴史、そして多くのハイカーや鉄道ファンに愛された記憶は、神戸の鉄道史における重要な物語です。この貴重な歴史の痕跡を次世代に残すべく尽力された関係者の皆様に、深く敬意を表します。かつて多くの人が訪れた山道に思いを馳せ、神戸電鉄の電車からその場所に心を寄せてみてはいかがでしょうか。
(2025年9月改筆)