記事榛名川上流砂防堰堤のイメージ画像

榛名川上流砂防堰堤

  • 建物・施設

榛名山麓における砂防の歴史は古く、明治15年(1882)頃より内務省技師デ・レイケらの指導による砂防工事が行われてきましたが、国の直轄事業としての本格的な着手は、昭和10年(1935)の災害復旧を契機とします。当時、この地域の山地は採草地としての野焼きにより荒廃が進み、土砂流出が深刻な課題となっていました。その後も昭和10年(1935)の豪雨災害や、昭和22年(1947)のカスリーン台風によって甚大な被害がもたらされ、これらを契機として昭和30年(1955)に竣工したのが「榛名川上流砂防堰堤」です。

本堰堤は堤高17m、堤長69mを誇る大規模な重力式コンクリート造で、榛名川の最上流部に位置しています。特筆すべきは、堰堤表面に施された「矢羽小谷積」と呼ばれる精緻な練石積です。これは当時の石積み技術の粋を集めたものであり、県内でも同規模の練石積堰堤は5基のみしか現存しない極めて貴重な土木遺産です。その重厚かつ美しい佇まいは周囲の渓谷景観と見事に調和し、平成18年(2006)には「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として国の登録有形文化財に登録されました。

完成から半世紀以上を経た現在も、本堰堤は榛名神社や下流の市街地を土砂災害から守る防災の要として機能し続けています。長きにわたりこの歴史的建造物を維持管理し、地域の安全を支え続けてこられた国土交通省利根川水系砂防事務所の皆様には、深く敬意が表されます。歴史ファンの皆様も、榛名神社参拝の折にはぜひ足を延ばし、先人たちの技術と情熱が刻まれたこの堰堤を訪れてみてはいかがでしょうか。

(2026年1月執筆)

PHOTO:写真AC

同じ都道府県の記事

同じカテゴリーの記事

ファイナルアクセス会社サイトはこちら

残り日数で探す

記事ランキング※24時間以内

Final Access Books

注目コンテンツ これが最後です

都道府県から探す