神戸市立御影公会堂
- 文化・教育施設
兵庫県神戸市東灘区御影石町に位置する神戸市立御影公会堂は、洗練された都市文化が花開いた阪神間モダニズムの時代を象徴する名建築として知られています。本建物は、白鶴酒造の七代目嘉納治兵衛氏による多大な寄付を仰ぎ、建築家・清水栄二の設計によって昭和8(1933)年に竣工しました。構造は鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階建で、外壁を覆う温かみのある茶褐色のスクラッチタイルが重厚な風格を漂わせています。特に、敷地の形状を活かして北東角に配された円弧状の正面玄関付近は、船の舳先を思わせる表現主義的な造形美を誇り、当時の最新技術と意匠の融合が見て取れます。
昭和20(1945)年の神戸大空襲による焼損や、平成7(1995)年の阪神・淡路大震災という過酷な試練を乗り越え、地域の復興を見守り続けてきたその姿は、市民にとっての精神的な支柱でもあります。その歴史的価値は公に認められており。国の登録有形文化財に登録されています。現在は大規模な保存再生工事を経て、歴史的意匠を継承しつつ今日的な利便性を備えた文化交流拠点として活用されています。
創建当時の面影を大切に守り抜き、地域文化の殿堂として今なお活用し続けておられる管理者および関係者の皆様に、深い敬意を表します。往時の美しさを色濃く残す空間で、神戸の歩んできた悠久の歴史に触れるひとときを、ぜひ現地で体感してみてはいかがでしょうか。
(2026年2月執筆)
PHOTO:写真AC







