旧篠山町役場
- 建物・施設
丹波篠山の城下町、その中心部に位置する「大正ロマン館」は、大正12年(1923)4月に旧篠山町役場として竣工した由緒ある木造洋風建築です。その外観は、明治40年(1907)に篠山へ駐屯した歩兵第70連隊の兵舎を参考に建築されたと伝わっています。足元を固める赤煉瓦の腰壁や、屋根に掲げられた火の見櫓といった意匠は、大正モダニズムの空気を色濃く漂わせ、地域の近代化を象徴する存在といえるでしょう。
本建築は、平成4年(1992)3月まで約70年という長きにわたり行政の中枢機能を担いました。その後、歴史的価値の高い建物を保存しつつ活用するため改修が行われ、平成5年(1993)6月に観光拠点として再生を果たしました。名称決定の際には、当時の観光協会内で議論が交わされ、建物の持つ雰囲気から「大正ロマン館」と名付けられたという、当時の関係者らによる熱意あふれるエピソードも語り継がれています。
城下町の景観に溶け込むこの洋館は、丹波篠山市の近代史を語る上で欠かせない遺構として評価され、平成28年(2016)には市の景観重要建造物に指定されました。歴史の変遷の中で、この美しい建物を守り活かし続ける運営管理主の皆様の尽力には、深く敬意が表されます。歴史ファンの皆様も、ぜひ当地を訪れ、ハイカラな大正の風を感じてみてください。
(2026年1月執筆)







