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能勢電鉄1700系 引退

  • 乗り物

阪急電鉄2000系として生まれた、未来の車両

1960年(昭和35年)、能勢電鉄1700系の前身となる阪急電鉄2000系が、ナニワ工機(現・アルナ車両)で誕生しました。翌1961年(昭和36年)には、当時最新鋭の性能が評価され「鉄道友の会」の第1回ローレル賞を受賞しています。回生ブレーキや定速運転制御をいち早く装備し、「人工頭脳電車」「オートカー」と呼ばれたこの車両は、独自の「ミンデンドイツ式」台車による滑らかな乗り心地でも知られました。前照灯を前面窓の下に配置しない意匠は「古き良き阪急スタイル」と呼ばれ、昭和期の関西私鉄らしい上品な雰囲気を今に伝えています。


能勢電鉄へ、そして地域に愛された塗装

1990年(平成2年)から1992年(平成4年)にかけてアルナ工機で改造工事が行われ、9編成36両が能勢電鉄へとやってきました。旧型の610系を置き換えたこの導入は、沿線の輸送力を大きく引き上げるとともに、全車両の冷房化も実現しました。デビュー当初はオレンジとグリーンの塗装で登場し、1993年(平成5年)には試験塗装車も登場。最終的なデザインは地元・川西市の宝塚大学の学生が手がけ、1994年(平成6年)には通称「フルーツ牛乳」カラーが走り始めました。その後も川西市黒川地区の原風景を描いた「里山便塗装車」など、地域と結びついた姿で親しまれてきました。


63年を超えて走り続けた、最後の1編成

2018年(平成30年)以降、最新鋭の7200系の投入とともに1700系は数を減らし、1962年(昭和37年)製造の2編成のみが最後まで残りました。やがて1755編成も引退し、「1757編成」が古き良き時代を伝える最後の1700系として活躍を続けています。能勢電鉄開業110周年にあたる2023年(令和5年)には記念号に抜擢され、車内には110年の歩みを振り返るポスターが展示されました。2024年(令和6年)12月には阪急電鉄正雀車庫で1700系として最後の重要部検査を受け、「レジェンド1757」として特製ヘッドマークを掲げて運行するなど、有終の美を飾る取り組みが続けられています。


伝説として、記憶に刻まれる走り

当初は2026年(令和8年)春頃と目されていた引退は先延ばしとなり、四季折々の沿線風景をもう少しだけ走り続けることになりました。高度経済成長期から令和の現代まで、数え切れない人々の暮らしを運んできた1757編成のモーター音は、これからも地域の人々の記憶に刻まれていくことでしょう。

(2026年8月執筆)

PHOTO:写真AC

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