【奥沢水源地】階段式溢流路
- 建物・施設
旧奥沢ダムの階段式溢流路は、ダム湖の水位が一定以上になると、水を放流するための施設です。落差約21m、距離約100mの10段の階段から構成されます。
水道専用ダムの溢流路としては最大規模を誇り、その工事技術と水階段の水の流れの美しさが目を引く水路です。その施工は1913年で、翌年の1914年に完成しました。当時の最新鋭の技術を結集し、石を練り合わせることで、水漏れや凍結などの問題を防ぐ「練石積み」工法が用いて造られました。落差を利用することで、水流の勢いを和らげる仕組みです。階段の縁は長短の石が交互に組まれていて、隙間から流れる水がすだれ状であることから、当地では「水すだれ」の愛称で親しまれます。
奥沢ダムが廃止された後も階段式溢流路の歴史的価値は高く評価されており、近代水道百選、選奨土木遺産に認定されています。小樽を訪れる際には、ぜひ奥沢水源地の階段式溢流路にも足を運んでみてはいかがでしょうか。小樽の地にも歴史ロマン溢れる水路が存在します。
(2024年1月執筆)
PHOTO:写真AC